職場の定期健康診断、受けなくてはいけない?

職場の定期健康診断、受けなくてはいけない? (
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せり
せり

こんにちは!せりです。

たいていの職場では、1年に一回、定期健康診断が行われます。

この定期健康診断について、「受けなくてもいいですか?」とよく聞かれます。

しかしながら、結論を言ってしまうと対象者は受けないとだめです。

ただし、いくつか例外もあります。

この記事では定期健康診断を受けなくてはならない理由とその例外について詳しく解説します。

健康診断を受けるのはめんどくさいです。

意外と時間をとられるし、生活についていろいろ聞かれるのもイヤな感じ。

夕食後に物を食べてはいけないと言われると、いつも食べないにも関わらず無性に食べたくなってツライし、脱ぎ着のしやすく、なおかつ仕事にふさわしい服装なんて考えるのもめんどくさい。

今回は、そんな様々な理由で「職場の定期健康診断、今年は受けなくてもいいかな」とお考えのあなたに、

職場の定期健康診断は受けないといけないのか、受けないとどうなるのかをわかりやすく解説します。

ぜひ最後までお読みください。

定期健康診断って受けないとだめ?

いきなり結論を言ってしまいましょう。

結論:定期健康診断は受けないとだめ!

そんな!!

どうしてか説明してください!!

そうですよね。

それでは、まず定期健康診断について確認しておきましょう。

定期健康診断とは
  • 職場で常時はたらいている人に対して必ず実施される
  • 事業者には、そこで常時はたらく人に1年以内ごとに1回定期健康診断を受けさせる義務がある (労働安全衛生規則第44条)
  • 検査項目(身長・体重・血液検査項目など)も決められている (労働安全衛生規則第44条)
  • はたらく人には、定期健康診断を受ける義務がある 
    (労働安全衛生法第66条第5項)。

びっくりですよね!

はたらく人には、定期健康診断を受ける義務があったんです!! 

定期健康診断は、職場が勝手にやっているものではなく、頻度(1年以内ごとに1回)や検査項目まで法令でがっちりと決められていました

どおりで、職場がうるさく言ってくるわけです。

結論:定期健康診断を受けるのは、法令で決まった義務です!

アルバイトや非正規雇用も受けないとだめ?

上の文では、「常時」はたらいている人が対象でした。では、アルバイト非正規雇用の人はどうでしょう?

これは雇用契約の期間や1週間の労働時間によって違います。

どのような契約であれば定期健康診断の対象になるかは、ややこしいのでこの記事では触れませんが、職場から定期健康診断の対象であると通知が来たら、受ける義務があるかもしれません※。

(※職場によっては法令で定められているよりも幅広く定期健康診断の対象者を選定していることがあります。法令で定められている範囲外であっても、就業規則などで定期健康診断の受診を定めている場合があります。)
(法令で定められている範囲については「非正規雇用 定期健康診断」などで検索してみてください)

派遣は?

労働者派遣事業法に基づく派遣労働者は、雇い主は派遣元の会社なので、通常の定期健康診断は派遣元で受けます。

(有害業務や特殊業務についている場合に受けなくてはいけない特殊業務検診は派遣先の事業場で受けることになります)

定期健康診断を受けなかったらどうなる?

同じ検査を自費で受けて職場に提出しなくてはならなくなる

職場の定期健康診断を受けない場合は、それと同じ検査を自費で受けて職場に提出しなくてはいけません(労働安全衛生法第66条第5項)。

自分で定期健康診断を受ける場合、健康診断は健康保険がきかないので、医療機関によって値段はまちまちですが、ざっくり1万円前後かかります。

持病などがあって病院に通院している場合、そこで採血した結果を提出することも可能です。
ただし、定期健康診断の項目には視力や聴力も含まれています。必ずしもかかりつけの病院ですべての項目について検査できるとは限りませんので、事前に相談しましょう。

職場の定期健康診断なら、費用は職場持ちです。

どうせ受けるのなら、さくっと職場で受けた方が断然おトクです。

定期健康診断も受けず、検査結果も提出せずに放置していた場合・・・

労災や重大事故が起きたときに不利になる

職場から定期健康診断を受けるよう言われていたにも関わらず受けていなかった場合、その後労災(労働災害)や重大な事故が起きたときに、自己保健義務を怠ったとみなされて不利になることがあります。

業務命令違反として懲戒処分を検討されてしまうことも

就業規制の定め方にもよりますが、業務命令違反として戒告程度の処分が下る可能性があります。
(平成13年4月26日 愛知県教育委員会事件 最高再判決)

職場から「働けない」と認定されてしまうことも

さらに、職場は、定期健康診断(必要ならその他の健康診断も)の結果を見て、その人を働かせてもよいかどうかを判断することになっています。

(少しややこしいので、詳しく知りたい方は「健康診断 事後措置」というキーワードで検索してください。いつか記事にする予定です)

ですから、職場が定期健康診断の結果を入手できないと、最悪の場合、

  定期健康診断の結果がない 

→ 働けるかどうか判断できない 

→ 働かせない

ということもありえます。

結論:定期健康診断を受けるか、自分で受けた検査結果を職場に提出しましょう

プライバシーの問題は?

でも、健康診断の結果を職場が知っているなんてイヤだ~!

プライバシーはどうなっているんですか!?

気持ちはよくわかります。

自分の身長や体重、腹囲、メタボかどうかまでなんで職場に知られなきゃならないの!?個人情報でしょう!? と思いますよね。
健康診断結果のような健康情報は、個人情報保護法でも【要配慮個人情報】とされています。

でも、職場で行われる定期健康診断の結果を職場が知ることは個人情報保護法に違反しません
雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項(平成29年5月29日))

はたらく人は、雇用契約を結んだ時点で、自分の健康情報を職場が把握することを認めたことになっているからです。

ですから、プライバシーをたてに、定期健康診断を受けることを拒否したり、結果を職場に提出することを拒否したりすることはできません

もちろん、職場に自分の健康情報を何もかも知らせなくてはならないわけではありません。基本的には、法律で決められた検査項目だけです。

しかし、職場がその人をはたらかせるうえで安全と健康の確保のためにどうしても必要な情報があると判断した場合には、法律で定められた健康診断結果以外の情報を出してほしいと言われることはあります(診断書など)。

職場は、はたらく人の健康情報を、はたらく人の安全と健康の確保以外の目的で使用することは禁止されています。

また、検査結果などは産業医や保健師などの産業保健スタッフが加工したうえでそのほかの担当者に見せることが推奨されています。そして、職場は知り得た情報を適切に扱わなくてはいけません(見る必要のない人が見ることができる状態であったり、みだりに口外したりしてはいけない)。

詳しくは「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取り扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針(平成30年9月7日公示)」

結論:定期健康診断を受けるか、自分で受けた検査結果を職場に提出しましょう

まとめ

定期健康診断は受けないとだめでした。
(または自分で検査した結果を提出しましょう)

めんどくさいですが、1万円くらいの検査を無料毎年受けられるのですから、実はものすごくおトクなんです。

また、万が一何かがおきたときに自分が不利にならないためにも、きちんと受けておくべきです。

そして、受けるからにはきっちりと活用して、健康という自分の大切な財産をがっちり守りましょう。

よくわかりました!

めんどくさいですが、定期健康診断受けてきます!

最後に一点。

定期健康診断のターゲットは、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)と結核です。

それ以外の病気を見つけるようには組まれていません

健康診断でたまたま他の病気が見つかる場合もありますが、それはラッキーだっただけです。

どこか具合が悪いところがあるのなら、定期健康診断で見つけようと思わずに、今すぐ病院に行きましょう。

せり
せり

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

またお会いしましょう。