定期健康診断報告書等に押印がいらないってほんと?

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せり
せり

こんにちは!せりです。

いろいろな書類からハンコを押す欄がなくなっていますが、産業医の業務でもハンコを押す場面は減っています。でも、本当に押さなくても大丈夫か心配になることもありますよね。

この記事では、ハンコがいらない根拠を法令に基づいて丁寧に解説していきます。

脱ハンコの流れを受けて、健康診断の個人票や、労基署に提出する定期健康診断の報告書にも、ハンコがいらなくなっています

しかし、産業医を依頼されるときに業務内容に「定期健康診断結果報告書 署名・捺印」と書かれていたりすると、「本当にハンコを押さなくても大丈夫なのかな?」と心配になりますよね。

そこで、ハンコがいらない根拠を調べてわかりやすく解説しましたので、ぜひお読みください。

押印がいらなくなった根拠法令等は?

押印がいらなくなった根拠法令はこれです。

じん肺法規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第154号。令和2年8月28日公布)

省令じたいはいつも通り読みにくいのですが、

じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の施行について」 という通達と

健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。」というパンフレットにとてもわかりやすくまとめられていますので、そちらもこの記事と合わせて見るのがおすすめです。

どこの押印が不要になったの?

今回押印が不要になったのは、これです。

  1. 定期健康診断や特定化学物質健康診断などの特殊健康診断の個人票
  2. 定期健康診断をはじめ、全ての健康診断の報告書ストレスチェックの報告書

定期健康診断や特定化学物質健康診断などの特殊健康診断の個人票

各種健康診断をした結果、その人ごとに作られる個人票には、これまで

健康診断を実施した医師の氏名と
意見を述べた医師の氏名と (歯科医師の診断と意見がある場合は歯科医師の氏名とも)

が必要でしたが、その「」が不要になります。

健康診断個人票
パンフレット「健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。」

意見を述べた医師って何?と思われた方は [過去記事:【詳解】産業医に毎月提供しなくてはならない情報にはどんなものがあるの? の項目2-2]をご覧ください。

定期健康診断をはじめ、全ての健康診断の報告書とストレスチェックの報告書

労働基準監督署に提出する各種健康診断の報告書や、ストレスチェックの報告書にも、これまでは

産業医の氏名と が必要でしたが、この「」も不要になります。

定期健康診断結果報告書 印が不要な箇所図解
パンフレット「健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。」

デジタル化された文書については?

では、デジタル化された文書についてはどうしたらよいのでしょうか?

各種健康診断の個人票は、保存することが義務付けられており、保存方法として紙での保存またはデジタル保存が認められています。

デジタル保存の場合、これまでは医師等の押印の代わりに電子署名が必要でした。

文書のデジタル保存についてはこちらをどうぞ

今回、電子署名も不要になります。

その理由として、【じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の施行について】では次のように述べています。

じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の施行について (抜粋)

(略)これらの健康診断個人票等について、事業者が電磁的記録による保存をする場合に、医師等の電子署名の取得ができなければ、書面に出力して医師の押印を取得した上で再度電磁的記録にしなければならない等の負担が生じるため、事業場における当該情報の電子化が進まないという意見を踏まえ、医師等による押印、署名及び電子署名(以下「押印等」という。)を不要とすることとした。

産業医のせいだったんですね(笑)

たしかに、わたしも電子署名は持っていません。

今回いろいろと調べた中で一番わかりやすかったのは、あの印鑑会社の「Shachihata Cloud」のコラム「電子署名法とは?運営者が把握しておくべきポイントの解説」でしたが、結局、電子証明書というものが必要なのかどうか、そしてどうすればよいのかピンときませんでした。

せり
せり

まあ、電子署名を使う必要はなくなったので、いいんですけどね。

同じように、労働基準監督署に提出する各種健康診断の報告書や、ストレスチェックの報告書をデジタル申請する場合、電子署名は、今回から不要になります。

本当に医師や産業医が確認したのか、心配じゃない?

押印をなくしてしまったら、本当に医師や産業医が確認したかわからなくなりそうです。

とはいえ、わたしが今まで確認していた健康診断や労基署に提出する報告書だって、すでに医師名まで印字されていたものを渡されて、それを確認した後はシャチハタをぺしっと押すだけでした。

ですから、今までだって、誰かがかわりに押印してしまってもわからなかったわけで、そう考えると押印に大した意味はないことがわかります。

一応、「通達」には

なお、これまで押印等をもって確認することとしていた医師等からの意見聴取等の実施状況については、労働基準監督署による監督指導等で確認することとされたい。

じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の施行について

と書かれているので、労基署から確認されるかもしれません。

わたしの職場ではまだ紙で出てくるので、確認した後にハンコを押さないと何か忘れた感じがして落ち着かないのですが、これも慣れるのでしょうね。

まとめ

令和2年8月から、各種健康診断の個人票や、労働基準監督署に提出する健康診断報告書・ストレスチェック報告書押印が不要になりました。

デジタル化されたそれらの文書にも、電子署名が不要になりました。

これにより、健康診断の個人票などもデジタル化が一層進むとよいですね。

毎年の職場の健康診断個人票を入れ替えるのってけっこう大変そうなんです。

せり
せり

最後までお読みいただきありがとうございました。

またお会いしましょう!